特定技能制度に関すること
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特定技能とはなんですか?
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2019年にスタートした外国人が働くための新しい資格(在留資格)です。
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なにが新しいんですか?
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単純作業の仕事もできるようになった点です。
これまで外国人労働者が就けるのは『専門的・技術的』な仕事に限られてきました(例えば、通訳やインド料理屋のシェフ、英会話教室の先生などです)。
特定技能では、12業種に限り『非専門的・技術的』な仕事(いわゆる、単純作業)にも外国人労働者が就けるようにしました。
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具体的には、どう変わりますか?
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これまで就けなかった分野の単純作業の仕事で働けるようになりました。
例えば、飲食店、宿泊施設、製造業のスタッフなどに、正社員として外国人が働くことができるようになりました。
※小売り店は対象業種にはなっていないでの、スーパーやコンビニ、お土産屋、ドラッグストアなどで特定技能外国人を採用することはできません。
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以前から飲食店等で外国人が働いていませんか?
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はい、確かに働いていました。
しかし彼らは外国人労働者(働くために来日している外国人)ではありません。彼らは、留学生(勉強のために来日)、定住者(日系人など日本人と一定の関係がある外国人)、日本人と結婚している外国人など、就労目的でない外国人でした。
就労目的でない外国人にだけ、単純作業の仕事に就くことが認められてきました。
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なぜ就労目的でない外国人に限定していたんですか?
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日本人の雇用を守るためです。
通訳や外国料理調理師、英会話教師などは、日本人にはない感覚、能力をもとに仕事をしますから、彼らが働いても日本人の職を奪うことはあまりありません。
しかし、単純作業の仕事は日本人ができる仕事です。レストランのウェイトレスは日本人でもできますが、そこに外国人が入ってくると日本人の雇用を脅かす可能性があります。
そこで日本人の雇用を守るために、就労目的ではそのような仕事に就けないように今までしてきたのです。
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なぜ2019年から、単純作業を外国人にも開放したんですか?
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日本人の雇用を守る以上に、人材不足が深刻化したためです。
これまでは日本人の雇用を守るために、現場作業への就労は認めてきませんでしたが、次第に日本人の雇用を守ることよりも、日本人が採用できないことによる影響の方が大きくなっていきました。
そこで2019年に、これまでの方針から大きく転換し、人材不足が顕著な12分野について、外国人が働けるようにしました。
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12分野とはどんな業種ですか?
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①介護 ②ビルクリーニング ③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(製造3分野)④建設 ⑤造船・舶用工業 ⑥自動車整備 ⑦航空 ⑧宿泊 ⑨農業 ⑩漁業 ⑪飲食料品製造業⑫外食業
※今後、⑬自動車運送業 を追加するか検討されています。
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12分野の仕事って、今まで技能実習生が働いていなかったですか?
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はい、⑫外食 以外は『技能実習生』も働いています。
しかし技能実習はあくまでも、労働ではなく実習であり、母国に日本の技術を持ち帰る国際貢献という目的で行われてきました(建前上は)。なぜかと言えば、上記で述べたように日本人の雇用を守るためです。実践的な技術を学びに日本に来た外国人という制度であれば日本人の雇用は守られると考えられたのです。
しかしご存じの通り、実態は労働なのに「研修」という建前であるため、「低賃金」「転職不可」「人権侵害」などの問題がおき、国際的に奴隷制度などと批判されてきました。
また台湾や韓国なども人材不足が深刻化したため、国際的な競争が激化。技能実習制度では優秀な外国人が日本に来てくれないという危機感もあり、特定技能制度がスタートしました。
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技能実習と特定技能の関係は?
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職種は、技能実習と特定技能とは多くが重複しています。
目的が異にするといっても似たような制度があるととても複雑になります。
技能実習については、2023年12月現在も議論が続けられていて、今後は「育成技能」という名称で新しい制度になるとのことです。
ただ特定技能は、「低賃金」「転職不可」で問題になった技能実習制度を反面教師として制定された制度ですので、新しい「育成技能」という制度がこの点をどうするのか、あまり変えなかったら再び国際的な批判にさらされるし、両方を変えたら今度は特定技能となにが違うんだという混乱も起こるので、制度がどうなるのか注目していく必要があります。
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特定技能は具体的にどんな制度で、技能実習と何が違うんでしょうか?
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特定技能の主なポイントです。(赤)は技能実習。
・就労期限は最大5年⇔(最大5年)
・賃金は、日本人と同等以上⇔(最低賃金以上)
・転職は、可能⇔(原則不可)
・外国人への、登録支援機関によるサポート等必要⇔(監理団体)
・特定技能になるためには
①特定技能試験合格 or ②関連する技能実習の2号修了が必要
⇔(技能実習は資格等は特に不要)