特定技能の受け入れ企業向け
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特定技能の注意点はどのような点ですか?
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主な注意点です。
●期間 5年(延長不可)
●給与 日本人と同等額以上
●転職 可能
●支援 必要(登録支援機関等を利用)
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特定技能外国人を採用する場合どのような方法がありますか?
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複数あります。
(国内在住者)
国内在住者の場合、就職説明会、人材紹介会社経由などで応募してもらうことが多いです。
また、ひとり外国人を採用すると、その外国人の知り合いが入社することも多くあります。
(国外在住者)
多くは、人材紹介会社や送り出し機関を経由して面接、採用という流れになります。
送り出し機関を利用することが義務付けている国が多いですが、インドネシアは、送り出し機関を利用せず個人での応募が可能な国となっています。ただ個人で直接応募の方は少ないようです。
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特定技能外国人から直接応募があったらどうすればいいですか?
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基本は自社だけで対応せず、弊所ほか入管業務を行っている行政書士に相談した方がいいです。
就労資格には色々あり、外国人自身で手続きを行うよえるようなものもあります。しかし「特定技能」の場合、手続き(書類)がとても多かったり、登録支援機関を利用するなど、専門家でないと対応が難しいと思われます。手続き不備があったり、就労できない外国人を就労させると不法就労助長罪に問われる可能性もあります。弊所までお気軽にどうぞ
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現在他社で就業中の特定技能外国人から応募がありましたが、内定を出しても問題ないですか?
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問題はありません。
特定技能外国人は転職が可能な在留資格であり、就業中に他社と面接をして内定をもらうことも可能です。
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特定技能外国人の採用を検討していますが、どこの国にするかは、どうやって決めるのですか?
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特に基準はないのですが、国によって、就労する業種の傾向に違いがあるので、それも一つの参考になるかもしれません。
これは、各国の特定技能外国人がどの職種に就いているのかをまとめたものです(一部業種がを省略しています)。
介護分野でいえば、全体平均と比べると、ネパールとミャンマーが際立って高いことがわかります。外食分野でも、ネパールが非常に高い傾向にあります。
一方、製造系については、ベトナム、中国、タイが多いのに対し、ネパールは少なくなっています。
このように国民性というものもあるかと思いますので一つの参考にするのもいいかと思います。
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特定技能はベトナム人がとても多いと聞きましたが、どれくらいいるんですか?
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特定技能外国人の半分は、ベトナム人となっています。
下記は入管で公表されている資料(2023年6月)となります。
上のグラフをみると特定技能外国人の56.3%がベトナム人となっていて、インドネシア人、フィリピン人を足すと、この3ヶ国で特定技能全体の8割を占めていることがわかります。
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人数が多い国の出身者を採用した方がいいのでしょうか?
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必ずしもそうは言えません。
たしかにベトナム人は半分以上を占めていて、現地の送り出し機関もたくさんあり、国内でのネットワークもしっかりしているので安心材料の一つになります。
ただ一方でベトナムの賃金水準は急激に上昇してきていて、ミャンマーの倍近くとなっています。このまま賃金上昇が続くと、日本の賃金水準に魅力を感じるベトナム人が減っていくことが予想されます。その視点からすると、賃金水準がまだ低い国を選択するという方法もあるかと思います。
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はじめて特定技能外国人を採用するので不安なんですが、採用方法は正社員だけですか?
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原則、正社員(フルタイム)での採用となります。
農業と漁業については、季節で業務量が変わるので労働力を流動的にできるよう、『派遣』が認められています。それ以外の業種では、フルタイム・直接雇用のみです。
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正社員の定義はありますか?
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はい、あります。
労働日数が、週5日以上、かつ、年間217日以上、かつ、週労働が30時間以上 の働き方を「正社員」と定義されています。
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雇用期間は1年ですか?3年ですか?
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1年としている所が多いと思います。
理由は、特定技能は最長5年働けますが在留期限は1年しかつきません(毎年更新手続きをする必要があります)。そのため、更新ができない可能性もあるので、1年としている所が多いようです。
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はじめて外国人を採用する場合、「特定技能」から始めるのはやめた方がいいでしょうか?
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今後も、事業・店舗拡大など、積極的に外国人雇用を行う予定であれば「特定技能」からスタートするのもよい選択かと思います。
そのような予定がなく、特定技能外国人からたまたま応募が来たので採用するか悩んでいるといった場合には、あまりお勧めは致しません。煩雑な手続き、登録支援費(毎月2-3万円)、毎年のビザ更新、など特定技能では一定の手間がかかってしまうからです。
少しずつ外国人を採用したい場合には、留学生などのアルバイト採用、インターンで数か月一緒に働くなどの方法から試すのもお勧めです。
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特定技能外国人を解雇することはできますか?
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基本的に、解雇事由は日本人と同じとなりますので、正当な理由が必要です。
外国人だからという理由で解雇することはできません。(均等待遇)
第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
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特定技能外国人と雇用契約を終了する場合に注意することはありますか?
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「非自発的離職」の場合、原則その後1年間、特定技能外国人を採用できなくなります。
非自発的離職なのか自発的離職なのかがとても重要となります。「非自発的離職」とは
・受入れ企業の経営上の都合による人員整理、希望退職、退職勧奨を行った場合
・労働条件に係る重大な問題(賃金低下、賃金遅配、過度な時間外労働、採用条件との相違等)があったと労働者が判断したもの
・就業環境に係る重大な問題(故意の排斥、嫌がらせ等)があった場合
・特定技能外国人の責めに帰すべき理由によらない有期労働契約の終了
(特定技能外国人受入れに関する運用要領 P54)
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特定技能外国人がより給与の高い他社に転職した場合、「自発的離職」ですか?
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この場合は、「自発的離職」に該当すると思われます。
「自発的離職」とは、特定技能外国人の自己都合による転職や退職のことを言います。
ただ、形式的には自発的離職であっても実質的には労働条件や就業環境に問題があったためにやむを得ず退職することになった場合には、「非自発的離職」と認定される場合もあります。
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特定技能外国人の給与はどうすればいいですか?
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日本人と同等額以上の報酬になります。
従って、特定技能外国人にだけ低賃金とすることはできません。
ビザ申請の際も、給与規定などを提出させるなど入管側も厳しくチェックしています。
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「日本人と同等額以上の報酬」とは具体的にどういう意味ですか?
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入管側では下記のような基準で同等性を判断しています。
賃金規定がある場合
→賃金規定に基づいて判断する
賃金規定がない場合
●特定技能外国人と同等の業務をする日本人がいる
→当該日本人と比較して報酬の同等性を判断する
●特定技能外国人と同等の業務をする日本人はいないが、近い業務をする日本人がいる
→当該日本人の役職や責任の程度と特定技能外国人とを比較し報酬差が合理的に説明されているか、年齢及び経験年数を比較しても報酬額が妥当かなどを検討
●比較対象できる日本人もいない
→雇用契約書記載の報酬額と、当局が保有する近隣同業他社における同等業務に従事する同等程度の経験を有する特定技能外国人の報酬額を比較
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特定技能外国人にも昇給は必要ですか?
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「日本人と同等額以上の報酬」とは、同一労働同一賃金の原則にもとづき、外国人であっても昇給や昇格で差別してはならないことを意味しています。そのため、日本人労働者が全員毎年昇給するのであれば、特定技能外国人も昇給させる必要があります。
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寮は提供する必要はありますか?
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必ずしも提供するは必要はありません。
ただ外国人労働者は「できるだけ多くの金額を母国の家族に送金したい」と考える人が多く、寮を提供するなど、生活費を抑えることができる会社で働きたいと考える人が多い傾向があります。優秀な外国人労働者を受け入れたい場合には、寮を提供したり、住宅補助をした方が良いと思います。
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登録支援機関とは何ですか?
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特定技能外国人は日本語力等が十分でなく、日本で生活していくためにサポートが必要となりますが、その支援をするのが登録支援機関になります。
法律では、外国人サポート経験のある企業は自社で支援することも認められていますが、ない場合には登録支援機関への委託が義務付けられています。登録支援機関は法律で決まった10の義務的支援を実施したりします。
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登録支援機関への委託は費用がかかりますか?
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はい、費用が発生します。
登録支援機関により、毎月定額の費用がかかる場合と、支援ごとに費用を徴収する場合があります。毎月定額制の場合、毎月2-3万円が相場のようです。
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給与は日本人と同等額で、加えて登録支援費が発生するということですか?
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はい、その通りです。
同じ給与の日本人を採用するよりも企業の負担は多くなります。
従って、特定技能外国人を受け入れる場合には、慎重に検討していく必要があります。
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登録支援機関に委託したら、登録支援機関が書類系の作業は全部してくれますか?
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定期的な届出の場合、登録支援機関に委託することで届出が免除される書類もありますが、「受入れ・活動状況に係る届出書」などは、受け入れ企業が提出する必要があります。ただ登録支援機関によっては、受け入れ企業が提出する書類の作成をサポートしてくれるところもありますので、ご相談してみてください。
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登録支援機関はどのような基準で選べばいいですか?
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登録支援機関ごとに特徴があります。
● 月額費用が安い
● 特定技能外国人への支援が手厚い
● 受け入れ企業への支援が手厚い
また、受入れ企業がどのような業種なのかによっても判断基準は変わってきます。
例えば、外国人介護士の場合、介護福祉士を目指している特定技能外国人が非常に多いです。
介護福祉士国家試験対策をしっかりとしていないと転職されてしまうこともありますので、介護施設の場合には、介護福祉士国家試験試験対策をしっかりサポートする登録支援機関を選ぶのも一つだと思います。
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登録支援機関の委託費用を特定技能外国人に負担してもらっても大丈夫ですか?
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登録支援機関への費用など、義務的支援にかかる費用を特定技能外国人が徴収することはできません。
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特定技能外国人の入国・帰国時の航空券は、受入れ企業の負担ですか?
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特定技能の制度としては、特定技能外国人の負担としても問題はありません。
ただし、二国間の協定で受入れ企業が負担するとしている国の場合(ベトナムなど)は、受入れ企業が負担する必要があります。
また、特定技能外国人が負担できない場合には、受入れ企業が費用を負担しなければなりません。